スルガ銀行やフラット35を利用した不動産投資詐欺は被害者にも問題がある

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こんにちは。ハピネス管理人のひでです。

のっけから挑戦的なタイトルですが、気分の悪い人は読まなくても結構です。

ここ最近、ニュースでもにぎわっている

  1. 不動産やと銀行信じて物件からクズ物件だった件
  2. 住宅ローンをつかって不動産投資したけど失敗したから機構が悪い件

この2件の不動産投資詐欺事案について考察をお話したいと思います。

先にお伝えしておきますが、私の見解はどちらも完全に「自己責任」です。

詳細な概要は下記ページで参考にしてください。

投資型マンション・アパートで…不正融資の闇 スルガ銀行の関与は【報道特集】
https://news.yahoo.co.jp/articles/8954a31c25523b305078e050870f510dd253835b

数年前に「かぼちゃの馬車」の不動産投資被害がおき、この事件は一躍有名になりました。結局、スルガ銀行がだした結論は、オーナーが物件を手放すことで債権放棄もできる。というミラクルな決断になりましたがこの件は、このかぼちゃの馬車とは、そもそも本質が違う気がします。

スルガ銀行だけを悪者にするのは違う

この事案では、スルガ銀行が主導し全国の不動産会社を巻きこんで無知な自称投資家気取りのカモにボロくず物件を倍以上の値段で売ったというのが軸になっています。ずさんなローン審査や、年収やレントロールの偽装なども銀行側の主導だと被害者は言っています。

ただこの事案、私個人の考えで言いますと、被害者を気取っている人にも大いに問題があると思います。

なぜなら、彼は購入前に一度も現地に見に行っていないのです

実際には9000万円ほどの価値の物件を2億4000万円で取得したとのことですが、それもどうかと思いますが不動産価格はなかなか経験値がないとわからない部分もありますので仕方ない部分が多少わかります。

しかし、2億円を超える物件を一度も見ることなく、しかも他府県で土地勘もない物件をよく買えたなと思います。

この被害者は

「銀行が勧めていたから」
「銀行の仮審査も通過してたから」

と銀行を120%信用している様子でした。

たしかに、嘘のレントロールや、正確な情報を提示されていないことは大きな問題です。

ですが、正確な情報を開示されていないからといって結局投資は自己責任なのです。
開示されていない情報の中にもなにか見落としはないかを探した上で、投資するか否かの決断をしなければならないのです。

鍵がもらえないから部屋に入れないなんていうことはよくあることですが、せめて現地に直接いけば、共有部分は入ることができます。一日前にいれば居住者がどのような人が住んでいるのかわかります。

スルガ銀行側のずさんな審査だったり詐欺的スキームだったりであったことは事実ですがこの件についてスルガ銀行だけを悪者にするのはいかがなものかと思います。

見に行けば100%避けられたリスク

ですがそもそも、この物件の購入は避けられたリスクです。

物件購入にあたって調査することはたくさんありますが、まず何よりも物件を見ることは基本中の基本です。正確なレントロールはでなくても一日中現地に1~2日ほどいれば電気がついている部屋が何部屋あるのか、カーテンがあるかどうかなど住んでいる形跡があるかどうかくらいはわかります。

共用部分にはもちろん入ることはできますから、ずさんな管理でゴミが散らかっているなどの状況も目にすることができたはずです。

管理がずさん=共用部分が荒れている=入居者の質が悪い

これは、たくさん不動産を見てきた結果言えますが事実です。
管理がずさんなところで入居者の質がいい物件を見たことがありません。

蛍光灯が切れていたり、
ゴミ置き場があれていたり、
使っていない自転車が捨てられている
何年も雨ざらしで電化製品が捨てられている

競売物件なら現地に立ちいりできませんから、中まで見ることはできませんが、共用部分からだけでもこの物件は判断ができたはずです。

周辺に聴き込む努力もしなかった

「不動産業者が見にいかせてくれなかった」と言っていますがその時点で怪しいし、見に行けなかったとしても、前面道路は公道です。住所さえわかれば福岡から日帰りでいけるはずです。

隣近所など周辺住民へのヒアリングや近所の喫茶店での雑談、周辺の不動産やへのヒアリングなどしておけば、TBSの報道特集でとりあげられていた、殺人事件や自殺、傷害事件などが集中的に起きている物件だったかどうかだけでなく、また、実際の家賃や空室率や周辺の噂なども事前にわかったはずです。

いわゆる事故物件サイトのようなものに頼らなくても現地にいけば無料で色々と教えてくれます。

そもそも不動産投資をする前に、まずよく考えてほしいのです。

一介のサラリーマンに銀行や不動産業者が棚からぼたもちのような優良投資物件を斡旋するわけがないという現実を。

そんな美味しい物件があれば、必ず不動産業者自ら購入し運用します。

見ず知らずのサラリーマンに絶対に売ることはありません

フラット35をつかった不動産投資

こちらの事案も、被害者として住宅支援機構を訴えています。
概要は下記のリンク先を御覧ください。

住宅ローン4000万円の『一括返済』を求められ絶望…「投資用物件とフラット35」で相次ぐトラブル 勧めた不動産会社Xに取材を申し込むと
https://www.mbs.jp/news/feature/scoop/article/2023/02/093277.shtml

カンタンにまとめると、フラット35住宅ローンを使ってアパートを建てたけど居住用じゃないので一括返済しろと言われたけど、無理だからローンを組んだ支援機構が悪い。

ということです。

「知らなかった」
「契約書は読んでない」

と言ってますが、いい大人が契約書も読まないのはどうかと思いますし、そもそも住宅支援機構のウェブサイトにはトップページで赤文字で「投資用物件には利用できない」と記載があります。

抜け道として数ヶ月だけ住民票を移すなどの方法をする方もいますが、それも今では問題とされていて、まああまり使えないというか使わないほうがいいスキームになります。

セカンドハウスローンを活用してやる方もいますが、あまりオススメできません。きちんと投資用ローンで収支の合う物件を購入しましょう。

不動産投資に住宅ローンがなぜ使えないのか?

まず、銀行や機構からすれば貸す目的が違います。

あまり一般的なたとえではありませんが、設備資金なのか運転資金なのかといった違いやカーローン、教育ローンなどと同じように目的が決まっているローンだということです。

また金利も住宅ローンは低めに設定されています。

理由は、基本的に収入原資である「給与」という安定的なものを目的としているからです。安定的な収入であればあるほど「滞ることはないだろう」ということで金利も低くなります。

一方、不動産投資向けのローンは個人の収入や勤務先などももちろん審査対象ですが、、「どれだけ収益が見込めるのか」というのも審査基準となります。そのため、金利も高めになりますし審査も厳しくなりがちです。

そもそもなぜバレるのか?

理由はいくつかありますが、概ねこういった理由で金融機関に発覚するケースが多いです。

  • 転送不可の郵便物が宛先不明で戻ってくる
  • 金融機関の担当による突然の訪問や現況確認

すでに十数年前からこういった住宅ローンをつかった不動産投資は増えてきているため、金融機関としても対策として転送不可の郵便物をあえて送ったりします。

もちろん住んでいれば問題ないのですが賃貸で貸し出している場合は、そこには別の居住者が住んでいますので受け取れません。転送届けを出していても、金融機関があえて転送不可指定で郵送していた場合、転送されずに金融機関に郵送物が戻ってきます。

不審に思った金融機関は担当者に調査依頼をかけ現地を確認しにいきます。
そこでだいたいバレます。

住民票だけ移してもバレる理由はそこにありますが、たしかに本当に住んでいたけど、転勤等のやむを得ない事情で貸すことになった場合は、事情を正直に話せば、不正融資にはなりません。いずれもどってくるかもしれないのに、強制的に転売をさせられる謂れもないためこのあたりが抜け道として使われているのだと思います。

住宅ローンで賃貸住宅を建てられるケースもある

あまり知られていませんが、実は賃貸住宅を住宅ローンで建てられるケースもあります。この場合は不正ではありませんから金融機関から一括返済を求められることはありません。

その方法は、賃貸併用住宅です。

つまり、建物の面積のうち、1/2以上が居住スペースであることを条件として家を建てる場合はあくまでも居住用物件になりますので問題ありません。

また併用部分から得られる家賃もローン返済の足しにできます。

結論:投資は自己責任

身も蓋もありませんが、結局は自己責任です。

もちろん詐欺は撲滅しなければいけませんし、騙して暴利を貪ろうと狡猾に狙う連中がいるのも確かです。しかし、自己防衛で防ぐ手段はいくらでもあります。

今回の住宅ローンで泣きをみたケースは難しくわからないことではなく、スマホで5分ほどGoogleで検索するだけでもいくらでも「NG」である理由はでてきたはずです。そこでストップしておけば泣きをみることもありませんでした。

また事故物件の不動産を倍以上の価格でつかまされた投資家も、不動産の素人のくせに、現地確認という基本中の基本をしなかったことが大きな問題です。

そもそも投資物件を見ることができないのであれば本屋にいけばインスペクションの本も山ほど売っていますからそれを見ながら物件めぐりをして目を鍛えることから始めればいいのです。

その上で、不正は不正として追求すべきだとは思いますが、そこばかりを追求すると、結局は審査はより厳しくなってしまい、不動産投資は冷え込み、景気も悪化することになりかねません。こういった弱者ではない弱者を過保護にすることでさらに問題を悪化させることはよくありません。

と私は思います。