賃借人が隣人に危害を加えた場合の保証人の責任

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保証人が保証契約を行う上での家賃滞納以外に起こる
想定できない保証リスクを考えるシリーズ

第二回目は、「 隣人に危害を加えた場合」です。

保証人を引き受ける際は、想定できる損害賠償と、想定できない損害賠償があることを前提に考えましょう。

賃借人が隣人に危害を加えたケース

前提条件

賃借人:A氏
隣人:B氏(原告)
被告:賃貸人

訴訟内容

A氏(賃借人)が夜中に突然叫んだり、B氏(隣人)を事あるごとに怒鳴りつけ威嚇。昼夜問わず呼び鈴を鳴らす。玄関鍵をこじ開けようとする。奇声を発し続けるなどの損害を受けたことによって退去せざるをえなくなったのは、賃貸人がそのような賃借人を居住させつづけたことによる損害である。

判決

裁判所は、賃貸人が賃借人が他の賃借人に迷惑行為を行っている事実を知った場合、契約解除も視野に入れて退去要請すべき義務が賃貸人にある。と認めた。

その一方、賃貸人がその事実を知らなかった場合は、免責されるともしている。

今後の対応

賃借人が別の賃借人に、常軌を逸した迷惑行為をした場合、賃貸人も損害賠償義務を負うことがあるというのは重要な点です。

確かに判例では「知らなかったら免責」とされているとはいえ、
倫理上、そもそも知らなかったというのも問題です。

極端に管理が行き届いていない状態で知らなかった場合、管理が正常に行われていないことに起因する損害とされるケースも想定できるため損害賠償義務を負う可能性がゼロなわけではありません。

そもそも、迷惑行為をした賃借人本人が悪いわけですからその賃借人やその保証人への賠償請求も行う必要がでます。

その賠償額がどの程度になるかはケース・バイ・ケースとはいえ、
改正民法で、個人保証人の極度額設定が事実上義務化されましたので、仮に隣人に迷惑をかけた場合の慰謝料や損害賠償額も極度額に算入しておかないと、後々大変なことになる可能性もあります。