WHO(世界保健機関)のシンボルマークの由来

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WHO(世界保健機関)は、H1N1型の新型インフルエンザや
今回のようなCOVID19の新型コロナウイルスの騒動があるたび
ニュースででてくる名前ですが、そのシンボルマークの由来を調べてみました。

引用:Wikipedia

この蛇と杖のマークは、「アスクレピウスの杖」といいます。

似た杖でエルメスのもつ杖もありますが、あちらは二匹の蛇が描かれており全く別物です。

アスクレピウスの杖とは?

アスクレピウスは、ギリシャ神話の医学神です。
この神がもっていた杖というのが由来になっています。

アスクレピウスは、ケンタウロスのケイローンに育てられ、
幼少期より医学の才能を修得し、
死者を蘇らせることもできるほどの医学の腕をもっていたそうです。

彼が持ち歩いていた杖はアポロンから贈られたもので、
聖蛇がまきついていました。
それが由来となって、医学のシンボルとして
アスクレピウスの杖が用いられるようになりました。

アスクレピウスの生い立ち

父であるアポロンと、テッサリアの美女コロニスの間に生まれた子どもです。
アポロンはギリシャ神話最高神である「ゼウス」と
「レト」というギリシャ神話でもっとも温和な女神との間に生まれた神で、
オリュンポス十二神としても有名です。
双子の妹は月の女神「アルテミス」です。

ですので、神である父と、人である母の間で生まれたハーフですね。

残念ながら母親のコロニスは浮気した疑いをかけられたことから
父であるアポロンに殺されてしまいます。

さて、このアスクレピウスは、死者を蘇らせることができるため

冥界の秩序が無茶苦茶になると死者の国の王であるハーデスは怒って
ゼウスに訴えるわけです。

結果的にアスクレピウスはゼウスの雷霆(らいてい)の一撃で殺されてしまいます。

余談ですが、七つの大罪のギルサンダーの必殺技は「雷帝の鉄槌」です。
雷霆とは、激しい雷のことでイカヅチとも呼ぶこともあります。
栃木県那須塩原市には「雷霆の滝」という滝がありますがまったく関係ありません。

さて、この殺されたアスクレピウスは、半分は神様ですから
死んだあとは神様となり「へびつかい座」になりました。

なぜ蛇なのか?

なぜ医学のシンボルが蛇なのか。

蛇は、脱皮を繰り返すため、古代では死と再生を司るシンボルでもありました。

娘のヒュギエイアという女神のもっている杯は
「ヒュギエイアの杯」として同じように1匹の聖蛇が巻き付いています。

こちらは、医学というよりは、杯ということもあり、
薬のシンボルとしてつかわれることが多いようです。

いずれにしろ、蛇というのは毒をもって殺してしまうことや、
自らが一度死んで、再生するように脱皮し生まれ変わるように見えることから

病や死という人が逃れることができない恐怖から
回復、再生するイメージを連想させたのではないでしょうか。