高齢者の入居者がなぜ難しいのか?「孤独死」と「認知症」の問題がある。

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こんにちは。

さて、今回は、高齢者の入居者を断ることの是非について考えてみたいと思います。

高齢者の賃貸住宅への入居は難しいと言われています。

理由は、当然亡くなるリスクなどがあるからですが、このままでいいのでしょうか?

2025年に、3,657万人が65歳以上に、約2200万人が75歳以上の後期高齢者になります。
3人に1人は、高齢者になるということです。

そうなると、高齢者を対象とした住宅を収益物件をもつ身からすれば、考えるのは妥当だと思います。実際、Youtubeでも有名な「ウラケン」さんもそう、おっしゃっています。

私自身も、高齢者を年齢を理由に無碍に断ることはしません。
倫理的にもよくないですし、良好なお付き合いをできる方であれば大歓迎です。

また高齢者の一人暮らしの場合、生活保護を受給されておられる方も一定数います。
築古物件を収益物件として回している方で、生活保護受給者は、家賃のとりっぱぐれがないので、よい入居者だというように言われる方も多く居ます。

今回は、そういった方も含め、高齢者の入居者について、思うところを書いていきます。

孤独死だけでなく、認知症になることも想定しよう

結論からいいますと、タイトル通り、高齢者は認知症になるリスクがあるということです。
そのことを想定した賃貸運営をしていて高齢者を入居させるのはよいと思います。

実際に認知症になった際、その後施設に入れる場合はいいのですが、施設に入れない場合は、デイケアなどを利用しながら、お部屋での生活になってきます。ご家族がいる場合はまだ相談できますが、天涯孤独の高齢者の場合、誰に相談することもできず、役所や公的機関と連携しながらのケアが必要になります。

集合住宅でひとりこういった方が出てくる際に考えないといけないリスク

  1. 糞尿問題
  2. ゴミ・害虫問題
  3. 奇声などの騒音問題
  4. 徘徊
  5. 孤独死

孤独死の問題は、事故物件になるため、いろいろな方がおっしゃっていますが、それ以外の問題は人権などへの配慮からか語られることは少ないです。
ですが、それなりに大きなリスクだと思います。

優良な入居者がでていくリスク

上記の5つの問題が顕在化して、廊下や他の住戸にまで影響がでるケースに発展した場合、優良な入居者から退去してしまいます。なぜなら、優良な入居者はどこへ行っても審査が通るため、簡単に引っ越しなども検討できるからです。

管理会社に任せっきりで、日常的に管理に無頓着で収益の数字ばかりを追いかけている不動産オーナーはこういった問題のリスクを考えていない方が多いです。

実際、自分が住んでいないので知ったこっちゃないのが本音なのかもしれないですが・・・。

概ねこういった物件は、建物共用部分が荒れはじめます。
一番わかり易いのは、長期間、廊下の電気が交換されていない物件です。
こういった物件は管理がまともにされていないので、不良入居者が多い特長です。

また優良な入居者がいなくなれば、優良な入居者が入ってくることもなくなります。

不動産収益を考える上で、1部屋の単価をあげたいのであれば優良な入居者には居てもらえるほうがいいです。

修繕費用が高額になるリスク

こちらの写真は事故物件ではありません。
きちんと生存している状態で退去された方のお部屋です。

みてもらえばわかりますが
トイレは的が外れているのか、そもそもトイレとして認識していないのかわかりませんが、壁一面に糞尿を撒き散らしています。

まさに部屋中がこの状態で、ゴミの分別などの問題、異臭などの問題がありました。
結果、こちらのお部屋をリフォームするのに全面リフォームをする必要があり、三桁万円はかかりました。

内容 金額
(家賃3万円✕42ヶ月) 126万円
入居前の改修費用 85万円
退去後の改修費用 123万円
総計 82万円

この方は約3年半居住しており、家賃3万円として、42ヶ月で126万円の収益でした。

上記の状態から借り手がつく状態にまでリフォームするためには、全面リフォームになりますので、約120万円ほどかかりました。ほぼほぼトントンの金額です。実際、この方が入られる前にも85万円のリフォームをかけて全面改装していたのですがそれを考えると、約82万円大赤字です。

このお部屋以外にも、当社の管理物件ではありませんが、部屋中に糞尿を撒き散らす人や、ゴミを溜め込んで異臭を放つ部屋、ゴキブリが数万匹居住している部屋など、様々です。

孤独死で事故物件になるリスク

一概に言えませんが管理会社に任せきりになっている不動産オーナーの場合、孤独死が発見できないことで事故物件になってしまうことがあります。

孤独死か、単なる老衰かの違いは、すでに国土交通省で指針が出されていますが日数などは既設などで腐敗進行度が変わるため、あくまでもウジ虫や腐敗臭が出て特殊清掃をが行わないといけない場合は、告知義務がある物件、いわゆる事故物件になります。

事件性が高い殺人や自殺、火災による死亡は、事件発生後3年間の告知義務となります。

こういったリスクはあるものの、総人口の1/3は高齢者なわけですから需要はあります。
高齢者の入居はきちんと面談してきめましょう。

断る以外に解決方法はあるのか?

日本の借地借家法がある以上、入居時に断る以外の選択肢はありません。

どんな持病をもっていようが、入居してしまえば、実質的に借り主が退去する意思がない限り、家賃の長期滞納による強制退去以外に、退去に至る選択肢がありません。

そこでどうしても高齢者向けの入居を進める場合の選択肢として提案したいのは、入居時の特約に「安否確認サービスへの加入」を必須条件にするということがあります。

もちろん、費用負担をどちらがもつかにもよりますが、私はオーナー負担でいいと思います。というのも費用負担を入居者にしてしまえば、支払いがルーズな方の場合、安否確認サービスが停止されてしまったり、そもそも解約されてしまっていたりというケースがあってもわからないということがあります。

連帯保証人の必要性

また、近親者による連帯保証は必ず必要です。

昨今は、保証会社による家賃保証が一般化しているため、連帯保証人はとらない物件も増えています。うちの物件も多くは連帯保証人はとっていません。

しかし、家賃や退去費用以外に連帯保証人が必要なケースがあります。
それは、遺品整理や上記のように認知症で著しく損傷した場合の退去時のリフォーム費用です。保証会社でもカバーしてくれる場合もありますが、多くの場合できないことが多いです。

ですので高齢者の入居にあたって、うちでは、今後は

  • 2親等までの(子どもや孫などの)連帯保証人
  • 安否確認サービスの加入

この2つは絶対条件にしていきたいと思っています。