様々なAIを2年使ってみて感じる限界と解決方法

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AIとの対話がうまくいかない?
その「モヤモヤ」を感じることはありませんか?
それを解決する3つの方法を考えてみました。

「最近、Gemini 2.5 Proと話していると、だんだん話が通じなくなる…」

そんな経験はありませんか?

最初のうちは完璧な回答をくれたのに、会話が長くなるにつれて、回答の精度が落ちたり、話が噛み合わなくなったりする。それは決して気のせいではありません。

これは、大規模言語モデル(LLM)が抱える「コンテキストの腐敗(Context Rot)」という問題が原因です。

人間は、長話の中でも重要なポイントを整理して記憶できますが、AIは違います。

チャットの履歴が増えれば増えるほど、どの情報が重要で、どの情報が不要かを判断するのが難しくなります。まるで「干し草の山の中から針を探す」ように、膨大な情報の中から必要な「文脈(コンテキスト)」を見つけ出すのが苦手なのです。

結果として、回答の精度が極端に悪化してしまうことがあります。

しかし、ご安心ください。この問題を回避しながら、AIとより効率的に、そして正確にコミュニケーションを取るための方法があります。

ここでは、プロの開発者やデザイナーが実践している3つのテクニックをご紹介します。

1. 階層的なチャットの使い分け:プロジェクト全体を俯瞰する「マスターチャット」と、個別のタスクに集中する「サブチャット」

大規模なプロジェクトを一つずつチャットで進めるのは非効率です。

そこで、**プロジェクトの全体像や目的を共有する「マスターチャット」**と、**具体的なタスク(例:「機能Aの設計」「バグ修正」)ごとに作成する「サブチャット」**に分けましょう。

これにより、一つのチャットが不要な情報で溢れかえるのを防ぎ、タスクごとに最適なコンテキストを維持できます。

タスクが完了したら、そのチャットを閉じて、新しいタットで次のタスクを始めれば良いのです。全体の進捗を確認したい時だけマスターチャットに戻れば、スムーズに情報を追うことができます。

2. 定期的なコンテキストの要約と引き継ぎ:AIの「短期記憶」を助ける

チャットの会話が長くなったら、重要なポイントをモデルに要約させて、新しいチャットの冒頭に貼り付けるという方法も有効です。

例えば、「これまでのチャット内容で特に重要なポイントを3つにまとめてください」と依頼し、新しいチャットで「この要約は、これまでの議論のまとめです。

この情報に基づいて、新しいタスクを進めてください」と指示します。

この一手間をかけることで、AIは最新の、そして整理された情報だけを基に思考するため、回答の精度が飛躍的に向上します。

3. RAG(Retrieval-Augmented Generation)の活用:LLMを「知識の図書館」として使う

より専門的な場面では、**RAG(Retrieval-Augmented Generation)**という技術が効果的です。

これは、LLMに外部のドキュメントやデータベースを参照させることで、最新かつ正確な情報を取得させる技術です。

プロジェクトの仕様書や過去のドキュメントを外部データベースに保存しておけば、AIはチャットの履歴に頼ることなく、常に正しい情報を参照して回答を生成できます。

これは主に企業向けの高度なソリューションですが、将来的に個人向けのツールにも組み込まれていく可能性が高いでしょう。