違法改造ジムニーの脱落タイヤ事件で保険を見直した件

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札幌市西区で2023年11月に起きたジムニー整備不良による脱輪事故で、当時5歳だった女の子が未だ意識不明の状態です。

「もらい事故」に備える:人身傷害補償特約を中心に、自動車保険を総点検してみなおしましたので記録のために残しておきます。

無保険・無免許の車が関与した重大事故の話を耳にし、「こちらに落ち度がなくても、生活が一瞬で崩れるリスクがある」と痛感しました。そこで、自分の任意保険を“支払い実務の目線”で見直し、特に 人身傷害補償特約(人身傷害保険) を重点的に再設計しました。

結論として、私は 車内限定ではなく「車内+車外」 を選べる保険会社を選び、(ソニー損保では選択可能でした)補償額も 無制限 に設定しました。車外補償を付けても私のプランでは追加保険料が発生しなかった点も、意思決定を後押ししました。車内のみ/車内+車外の違いは、まさに“事故現場がどこか”で効いてきます。

以下は、同時に確認した特約を「将来の自分が読み返してすぐ判断できる」ように整理したメモです(保険は商品ごとに定義・免責・支払基準が異なるため、最終判断は必ず約款・重要事項説明書・保険会社回答で確定してください)。


1. 今回の見直し方針:ポイントは「相手の保険に期待しない」

無保険・無免許、資力不十分、連絡が取れない、過失割合でもめる——。こうした“回収不能・長期化”の典型局面では、相手方からの賠償に依存する設計は危険です。

そこで今回は、

  • 自分側の保険で、早期にキャッシュフローを作れるか

  • 車外(歩行中・自転車中など)まで守備範囲に入るか

  • 家族の範囲が実態(別居の子など)に合っているか

  • 使っても等級(保険料)がどう動くか(ノーカウントか)

この4点を軸に点検しました。


2. 人身傷害補償特約とは:自分の損害を“自分の保険”で埋める仕組み

2-1. ざっくり言うと

自動車事故でケガをしたとき、治療費・休業損害など(商品により支払対象は異なる)を、相手との示談成立を待たずに自分の保険でカバーする発想です。ソニー損保の説明でも「示談交渉を待たずに支払う」趣旨が明確です。

2-2. “もらい事故”で価値が跳ね上がる理由

もらい事故は、相手の対応が遅い・無保険・過失争い等で、被害者側の立替が長期化しがちです。ここで人身傷害があると、少なくとも治療・生活の初動が安定します。


3. ここが重要:「自動車事故」限定という“境界線”を理解する

ユーザーのメモにある通り、人身傷害は万能ではなく、基本は “自動車事故”を起点 に設計されています。ソニー損保でも、車内+車外であっても「歩行中や自転車乗車中などの自動車事故」という整理です。

3-1. 補償されやすい典型例(イメージ)

  • 歩行中に四輪車に接触された

  • 自転車に乗っていて四輪車に接触された
    (※いずれも「自動車が関与」している構図)

3-2. 補償外になりやすい典型例(注意)

  • 歩行中に自転車と接触(相手が自動車ではない)

  • 自転車同士の衝突(自動車が関与しない)

この“境界線”が今回いちばん説明を厚くしたいポイントです。
車内+車外にしても、「自動車が関与しない事故」まで自動的に広がるとは限りません。


4. 「電動キックボード」はどう考えるべきか:実務は“車両区分”で割れる

電動キックボードは、法令上の区分(特定小型原付など)によって扱いが変わります。たとえばアクサのFAQでは、一定の電動キックボードは「車両」に該当し、日常生活賠償責任特約では対象外になり得ると明示しています。
また、保険会社のFAQでも、電動キックボード(原付相当)として特約での補償可否が整理されています。

4-1. 実務での結論

  • 「電動キックボード=自転車扱い」と決め打ちすると危険

  • 事故の相手が“車両扱い”になるなら、人身傷害の「自動車事故」側に寄る可能性はありますが、約款定義が最終支配です

  • 不確実性が残る以上、自転車・歩行者事故まで広げたい人は追加の備えも検討した方が安全


5. 自転車相手・歩行中の事故まで広げたいなら:別の特約(別商品)という選択肢

保険会社によっては、人身傷害の補償範囲を「交通乗用具事故」まで拡張する設計があります。
たとえば損保ジャパンでは、人身傷害に「交通乗用具事故」まで拡張するオプションが説明されています(歩行中の自転車との衝突などに言及)。
東京海上日動の改定案内でも、歩行中の自転車との接触事故等への備えとして、特約で補償範囲を拡張する趣旨が示されています。

要点

  • 人身傷害(車内+車外)=「車外もOK」だが、なお“自動車事故”を前提にしがち

  • 自転車などまで広げたい=「交通乗用具」系の特約・別保険を要検討


6. 人身傷害補償特約の補償範囲:「車内のみ」か「車内+車外」か

ここは保険会社によって“選べる/選べない”が分かれます。

6-1. 車内のみ

  • 契約車両に乗車中の事故に限定するタイプ

6-2. 車内+車外

  • 契約車両に乗車中だけでなく、歩行中・自転車乗車中などの自動車事故も補償対象に入るタイプ

私はこの差を「事故現場の半分以上は車外にある」と捉え、車内+車外を選びました。


7. 補償額は“無制限”が合理的になりやすい領域

人身傷害の支払対象(治療費・休業損害・後遺障害・死亡等)は、重篤化すると桁が変わります。特に家族(子どもを含む)を守る観点では、限度額が意思決定のボトルネックになりがちです。

私は今回、無制限に設定しました。なお、無制限設定の可否や保険料影響は商品・プラン次第なので、見積りで必ず確認してください。


8. 「年齢条件」と「人身傷害の対象者」は別物:家族範囲の定義を確認する

ユーザーのメモにある通り、運転者年齢条件(例:30歳以上補償)は、主に“その車を運転する人の条件”の設計ですが、人身傷害の被保険者範囲は別に定義されることがあります。

ソニー損保の「家族」の定義では、

  • 記名被保険者の配偶者

  • 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族

  • 別居の未婚の子
    という整理が示されています。

さらに、別居の未婚の子について「未婚=婚姻歴がないこと」と明記した解説もあります。


9. 「別居の未婚の子」が効いてくるケース:離婚・進学・寮・一人暮らし

ここは実務的に重要です。

9-1. 補償対象になり得る例(未婚が条件)

  • 離婚した前妻(前夫)との間の子どもが未婚で別居

  • 子どもが進学で寮・下宿・一人暮らし(未婚)

  • 就職で転居して別居(未婚)

「別居=対象外」と思い込みがちですが、“未婚の子は別居でも対象” という設計は珍しくありません。

9-2. 注意点

  • “未婚”は「結婚していない」ではなく、商品によっては「婚姻歴がない」解釈が置かれます

  • 最終的には約款定義で確定(ここは必ず確認)


10. おりても特約:人身傷害と似て見えて、守備範囲が違う

10-1. おりても特約とは

ソニー損保では「おりても特約」は、出かけた先でのケガ身の回り品の損害を補償する総称、と整理されています。

ユーザーのメモの通り、人身傷害と似た匂いはありますが、設計思想は別物で、特に 対自動車に限らない事故まで拾える可能性がある点が魅力です(具体の対象事故は商品定義による)。

10-2. 補償タイプ(本人/夫婦/家族など)

商品によって「本人のみ」「夫婦」「家族」などの構成を選べる設計があり得ます(ソニー損保の約款PDFでも、関連特約が列挙されています)。

10-3. 使っても等級が下がらない(重要)

ソニー損保では「おりても特約のみを使用した場合、等級が下がらない」と明記されています。
さらに、同社の補足資料では おりても傷害/おりても身の回り品 がノーカウント事故に含まれる整理も確認できます。


11. 「おりても身の回り品特約」と「車内身の回り品特約」の違い

ここは混同しやすいので、機能で分けます。

11-1. 車内身の回り品特約

  • 車内にあるモノの損害を補償する発想(車両保険では拾えない領域を埋める)

  • 事故類型によっては等級への影響が出る場合がある(ソニー損保では車両保険・車内身の回り品の一部が「1等級ダウン事故」になり得る整理)

11-2. おりても身の回り品特約

  • **車で出かけた先(車外)**での身の回り品損害も守備範囲に入り得る

  • ただし「何でも出る」わけではなく、免責・対象外が明確にあります

    • 免責金額(自己負担)5,000円

    • 現金・有価証券・貴金属・携帯電話・コンタクトレンズ等は対象外になり得る

    • 紛失は対象外になり得る
      これらはソニー損保FAQに明記があります。

ユーザーのメモにある「スマホは対象外」「財布の中身(紙幣など)は対象外」は、この方向性と整合します。

11-3. 等級への影響

少なくともソニー損保の整理では、おりても特約は“それのみ使用なら等級が下がらない”。


12. 弁護士特約(日常事故弁護士費用等補償特約を含む):万能ではないが、刺さる場面は深い

12-1. まず「もらい事故」で強い

自分に責任のない事故(もらい事故)では、法律上の制約で保険会社が示談交渉をできない、という前提があります。ソニー損保の用語集でも、この趣旨が説明されています。

この局面で、相談・依頼コストを保険で吸収できるのが弁護士特約の価値です。

12-2. 「日常事故」は何でも使えるわけではない

日常事故型が付いていると、犬の咬傷など突発的な日常トラブルも対象に入る場合がありますが、離婚・名誉毀損などは対象外になりやすい点が重要です。
三井住友海上のFAQでは、離婚・セクハラ・名誉毀損が対象外と明示されています。
また、比較サイトの解説でも「離婚協議には使いにくい」理由が整理されています。

12-3. 等級はどうなる?

保険会社により異なりますが、少なくともソニー損保の補足資料では弁護士特約がノーカウント事故に含まれる整理です。


13. 見直しの実務チェックリスト:迷ったらここだけ押さえる

13-1. 人身傷害:車外補償の要否

  • 日常の移動で「歩行」「自転車」が多い → 車内+車外を優先検討

  • ただし自転車相手・歩行者事故まで広げたいなら、交通乗用具系の設計も視野

13-2. 対象者:家族定義の棚卸し

  • 別居の未婚の子がいる/将来そうなる → 対象範囲の明記を必ず確認

13-3. 等級:ノーカウントかどうか

  • 「使ったら保険料が上がるから躊躇する」を潰すため、ノーカウント条件を事前に確認
    (ソニー損保では人身傷害・弁護士特約・おりても特約等がノーカウント事故に含まれる整理)

13-4. 身の回り品:対象外の洗い出し

  • スマホ・現金・有価証券など“壊れる/なくなる”筆頭が対象外になりやすい

  • 免責金額(自己負担)も必ず見る

13-5. 電動キックボード:区分で判断が割れる

  • 「車両」扱いで日常生活賠償の対象外になるケースがある

  • 事故当事者の立場(被害者/加害者)で必要な保険も変わる


14. まとめ:今回の学び(結論だけ)

  • 人身傷害は“自分の損害を自分の保険で埋める”中核。もらい事故ほど効く

  • 車内限定と車内+車外の差は大きい。選べるなら車外まで検討

  • ただし車外でも「自動車事故」限定になりやすい。“自転車相手”まで欲しいなら追加設計が必要

  • 別居の未婚の子が対象に入る設計は実務上かなり重要(離婚・進学・独立)

  • おりても特約・弁護士特約・おりても身の回り品は、商品によっては ノーカウント で使いやすい

  • 日常事故弁護士費用は万能ではなく、離婚等は対象外になりやすい