宅配ボックスのメリット・デメリット

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宅配ボックスとは、マンションやアパートのポストの近くに設置されることが多い、最近良く見る荷物を無人で受け取ることができるロッカーです。

各社、様々な呼び名はありますが、宅配業者や家族などが留守中でも荷物を預け入れることができるので入居者にとっては便利です。メリットしかないようにも思えますが実際に設置してみて、感じたことをまとめてみました。

宅配ボックスの種類

宅配ボックスはまず大きくわけて2種類あります。

  • 電源なしで可動できるタイプ
  • 電源を必要とするもの

電源が必要なものは、カード式や非接触ICカード、暗証番号等で解錠することができ、各住戸ごとに専用のICカード、暗証番号などが割当られるといったものです。予め設定されたカードや番号がありますので、受託者(宅配業者や家族)などは暗証番号を設定しません。単に号室を指定して荷物を預け入れるだけです。
入居者は、暗証番号やICカードで荷物を受け取ります。

電源なしで可動できるタイプは、主にその都度、暗証番号を設定し、暗証番号が書かれた不在票をみて、入居者が荷物を受け取るといった方式になります。

宅配ボックスの使い方

  1. 宅配業者や家族等が、ボックスに荷物を預け入れる。その際、 住戸番号を指定することができるものは指定する。
  2. 宅配業者が、入居者のポストに通知を投函する
  3. 入居者は、帰宅後、ポストの通知を見て、宅配ボックスから荷物を取り出す。

戸建用のものや、簡易なワイヤーでつけられるものなど、安いものですと3000円くらいからありますが、ここでは固定してつかえる集合住宅向けのもの指します。

宅配ボックスがあるメリット

  1. 居留守がつかえる。
  2. 不在時にも荷物を受け取れる
  3. 再配達の手間が減る
  4. 管理側にとって資産価値が向上し、入居率もUPする。
  5. 入居者の満足度があがる
  6. Suumoやathomeなどで「宅配ボックス有り」と記載できる

特に1の「荷物を受け取る際に居留守を使いたい」という要望は、一人暮らしの女性には、最近ではほぼ必須といってもいい項目です。呼び鈴を鳴らしてきた相手が、本当に宅配業者なのかどうかわかりませんから、そういった怖さを考えて防犯上の理由からも必須です。居留守を使うのは失礼だというような場合でも、インターホンごしに「今、手がふさがっているので宅配ボックスに入れておいてください」といえばいいので、やはり大きなメリットであるといえます。

宅配ボックスのデメリット

それでは、宅配ボックスを賃貸マンションに設置するデメリットとは何でしょうか?大きくわけて入居者にとってのデメリットと、管理側としてのデメリットがあります。

入居者にとってのデメリット

重い荷物を1階から自分で運ばないといけない

宅配ボックスの多くは1階に設置してあります。導入に消極的な人の多くはこういった意見をもつ方もおられます。そういった方には「ネットなどで重いものを買われる際は、宅配ボックス不可と記載してください」とお伝えしています。そういった記載が備考欄にあると、多くの配送業者は、宅配ボックスを利用せず、再配達をしてくれます。ただ、そもそも宅配ボックスを利用しないのであれば時間指定をしてその時間に1回で受け取ればよいということになりますが・・・。
居留守が使えなくなるのでその場合、玄関先に置いておいてください。ということになります。

管理側にとってのデメリット

管理側とは、管理会社だけでなく、自主管理をする家主なども含めます。

管理側にとってのデメリットは、

  1. 使用状況チェック、清掃や管理に手間がかかる
  2. 入れ間違いのトラブル対応
  3. 導入やメンテナンスのコストがかかる
  4. 長期間の占有等、入居者間のトラブルに発展する
  5. 通行の邪魔になる

基本的には導入にあたってのコスト面でのデメリットが大きいと思います。
特に宅配ボックスの多くは、防水タイプのものは少ないため、屋外に設置する場合、屋根を増設したり、壁などを増築したりしなければ行けない場合もあります。そもそもひとりのDIYでつけられる程度の軽いロッカーであれば、簡単に壊される心配もありますので、それなりの強度をもって床に固定しないとグラグラと移動しますので、設置コストは重要です。

また、宅配ボックスの入れ間違いであればまだしかたないのですが、長期間占有し、私用ロッカーのごとく、私物化する入居者がいるため、使用状況などを防犯カメラでチェックしなければいけない面倒さは増えます。

宅配ボックスの適正数

さて、いざ設置するとなった場合、適正数は何個になるのでしょうか?

目安としては最低でも10%くらいはあったほうがいいと思います 。
宅配ボックスの業者は全住戸数の3~4割は確保が必要ということを言っていますが、正直なところ、ケース・バイ・ケースで、その物件の入居者の年齢層や生活スタイルで大きく変わるのではないかと思います。若年層(10~30代)が多いマンションやアパートの場合、宅配ボックスの利用する頻度は高くなり、さらに女性が多いセキュリティのしっかりしたタイプですと40%設置しても足りない場合もあります。

サイズも、30cm幅程度の小さいものから、ゴルフバッグが入るものまで様々ありますが、どのようなサイズの荷物がよく利用されるか思案の難しいところです。

宅配ボックスを設置する下準備

宅配ボックスを設置するメリット、デメリットをしっかり理解した上で、利用規約を定め、どのような利用方法を想定していくのか、どのように管理していくのかをある程度想定して設置することが重要です。

まずは設置にあたって入居者にアンケート調査を行うのもよいと思います。

「不在時の荷物受け取りが必要なのは週何回くらいありますか?」とか、「荷物のサイズは主にどのくらいのサイズですか?」など具体的にヒアリングすることで、その物件の利用状況がある程度推測できます。