意外と知らない「確定日付」って何?

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確定日付とは?

契約書や覚書などが実際にその日に存在し、過去にさかのぼって作成されたものではないことの証明を公証役場で付与してもらうものが「確定日付」という制度です。

あくまでも私文書(私署証書)の日付を証明するもので、
公文書(公的な証書)ではありません。
よく間違われる「公正証書」は私文書ではなく「公文書」で、内容が認証されたものです。

この点は後述します。

書類

確定日付は、文書の「存在」を証明するもの

契約書や覚書などの私署証書は、一般的な商取引でも利用されるケースが多いですが
民間で作成したもので、当事者間の契約内容を証明するために有効なものになります。

契約した当事者同士で問題になるケースではない場合でも、第三者が関係した場合、
本当にその私署証書がその日付に存在していたかどうかが問題になることがあります。

AとBが結託し、Cの不利益となるように、あとから日付を改ざんして作成することや、日付を過去にさかのぼって付与した書類を作成することは、物理的に可能です。

例えば、質権や担保権などを設定する際、その順位が重要になります。

不動産登記のように登記ができれば日付は公的書類で証明できますが、動産などの担保の場合、設定順位が早いほうが有利になります。

そういった確定された日付が証明として必要になるときために、
「その日に確かに存在した」ことを証明するためのものが確定日付制度の意義です。

他に、よく使われる例としては

内容証明郵便、指名債権譲渡の通知については、確定日付のある証書がなければ債務者以外の第三者への対抗ができないとされています。

悪用されるケースは注意が必要

ここで注意をする必要があるのは、

あくまでも「日付」の確定を証明しているだけであって、
書類の内容を証明したり、
書類を公的に承認しているわけではありません。

この制度を悪用し、確定日付を用いた振り込め詐欺が横行しているようですのでくれぐれも気をつけて下さい。

偽造された確定日付であれば、なおさらですが
仮に、本物の確定日付であっても、公的には「日付」を確定しているだけであって
文書の内容については何ら確認も保証もしているわけではないのです。

例えば、裁判所の判決文のような内容で「支払料金確定通告書」というような内容の書面を
確定日付の印鑑とともに送られてくると、

多くの何もしらない人はびっくりしてしまいます。

こういったケースは、無視せず警察に通報しましょう。

確定日付は誰でも利用できる

確定日付の付与にあたって、一切の資格もいりません。

行けば、誰でも、どんな書面でも押印してもらえます。

確定日付申込書例

確定日付はこのような申請書に記名し、申請すれば、
費用は、全国どこの公証役場でも、1件700円(2020年現在)で押印がもらえます。

注意が必要なのは、契約書などのように2通作成しているものを
2通ともに日付を押印する場合は2件の扱いになります。

1押印ごとでも、1枚でもなく、あくまでも1件あたりの金額になります。

1枚の契約書を双方2通、合計2枚でも、2件として1400円ですが

10枚をホチキスとめした書面が1冊であれば、1件として700円です。
この場合、ホチキスどめした部分にも割り印をしてもらえますが、こちらで先に割り印の押印をしておかなければ、公証役場では割り印をしてくれないことがあります。

公正証書と確定日付の違い

公正証書は、公文書であり、確定日付は、私文書です。

公文書とは、公務員、公証人、その他公の機関などが作成した証書をさし、契約や遺言などが法的に有効に成立したことを公的に証明している文書のことをさします。

反対に、私文書とは、民間人同士で作成した文書のことで、主に契約書や覚書などの書面がこれにあたります。

公正証書 確定日付
特徴 公的に認証された文書 文書が日付のみ確定
強制力 強い 弱い
費用 5000円~ 700円
取得にかかる日数 数日程度 即日
必要なもの 戸籍や印鑑証明など 不要

上記の表でまとめましたが、強い強制力があるからといってなんでもかんでも公正証書にする必要はありません。確定日付で済むものもあります。

ケース・バイ・ケースで利用しましょう。

ちなみに、公正証書の強制力は非常に強く、離婚協議などでも活用でき、判決と同様の効力を法的にもっているため、公正証書に記載されている内容に反した場合、直ちに強制執行手続きを裁判を経ずに行うことができます。

そのくらい強力だということですが、似たような書面であっても「確定日付」の場合もありますので、書面をよく確認しなければ、詐欺の被害にあうことがあります。

書類は隅々までしっかりと確認をすることが肝心です。