素人がひとりで有限会社の取締役の選任と解任の変更登記を自力でやってみた!

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

こんにちは、ハピネス管理人のひでやんです。

登記が必要になった経緯

プロフィールどおり、弊社は「有限会社」という法人になります。

ただ有限会社法はすでにありませんので、現在ある有限会社はすべて
「特例有限会社」として、特例で有限会社のまま現存しているかたちになります。

親が創業して約30年近く経過し、諸事情により取締役の入れ替えが必要になりました。

通常であれば司法書士に代行してもらったりや行政書士に書類を作成してもらったりするのですが今回は、勉強を兼ねて、自力で行うことになりました

なぜ自分でやろうとおもったのか

結論からいうと、2つ理由があります。

  • 本来は、自分で行うものだから
  • やってやれないことはない(何事も経験だ)

この2つが大きな理由です。

あまり知らないひとも多いですが、不動産登記を含め、登記自体自分で行うことができます。
というよりも本来は自分で行うものです。

ただ書類が多く煩雑なことや、「信用」という目に見えないもので安心をするため
ほとんど9割以上の人は専門家に頼む場合が多いです。

やってみれば登記は自分でできるものであるならば、
やってやれないことはない。ということで、今後、自分と同じように、親の有限会社を引き継いで、事業継承をしたり、定款の変更をしたりする方のために手順を共有できればと思い、公開しました。

自分で登記手続きをするメリット

メリットは、2つあります。

  1. お金が節約できる
  2. 経験が身につく

この2点です。実際、司法書士に依頼しても、1件あたり35,000~50,000円程度の報酬がかかります。印紙代(10000~30000円)は別途かかりますので、報酬分がやすくなります。

実際、やってみるとわかりますが、書類を1件あたり2~3枚用意するだけですので、
誰でもできます。なんならコピペで該当箇所だけ変えたテンプレートでも十分通用しますのでわざわざ何万円も支払って専門家に依頼するよりは、経験が身につくことを考えるとその費用を別に活かした方が、かえってプラスになります。

失敗しても間違っていても、何度でもやり直しはできますので安心して下さい。

今回の登記する事項

今回、登記する内容は下記のとおりです。
他の変更登記をする場合は、書類がかわる可能性があります。

  • 取締役 1名 辞任
  • 取締役 1名 就任
  • 取締役 1名 住所移転

今回は「就任」と「辞任」と「役員の住所変更」のみを行いました。

この他にも、「商号変更登記」や「目的変更登記」定款変更に伴って登記が必要な「取締役会廃止、監査役廃止、株式譲渡制限変更、株券不発行」「本店移転登記」「募集株式の発行」「解散登記」など様々な登記がありますが、他の登記についてもおおまかな流れは同じですので、参考にして下さい。

変更登記に必要な書類

上記の変更登記の申請に必要な書類は下記の通りです。

  1. 申請番号※1
  2. 登記申請書(DL
  3. 収入印紙貼り付け用台紙※2
  4. 株主総会議事録(DL
  5. 株主リスト(DL
  6. 就任承諾書(DL
  7. 印鑑証明書
  8. 委任状(DL)※代表取締役が手続きをしない場合

書式テンプレート一式(ZIP形式)ダウンロードはこちらから※3

※1、法務局によっては到達記録が必要な場合もあります。
※2、忘れても法務局で提出時にいえばもらえます。
※3、テンプレートはOffice365で作成したWord、Excelファイルになります。2020以前のものをお使いの場合は若干レイアウトが崩れる場合があります。

上記の書類をもって、最終的に登記所に申請に行きます。
弊社の場合、本社が大阪市内ですので、大阪法務局になります。
1階一番奥、17番が受付です。

受付時、とくに事前予約などは必要ありませんので書類をそろえて、直接受付へ行きます。
万が一、印鑑などの押印ミスや忘れているところ訂正印が必要な箇所があった場合にそなえて
押印した印鑑はすべてその日にもっていくほうが時間のロスがないです。

さて、それでは、事前の必要書類についてご説明します。

書類を作成するにあたって準備するもの

  • 会社謄本(法人番号がわかるならなくてもいい)
  • 印鑑証明書(就任する役員分のみ)
  • 書類を作成するソフト

必要なソフトはWordやExcelなどがあれば十分です。
もしOffice系がなくてもGoogleのアカウントがあれば、
無料でGoogleドキュメントをつかえます。

書類①議事録の作成

議事録の作成をするにあたって、株主総会を開きます。

ほぼ家族だけの零細企業であっても有限会社ですので株主がいます。
定期株主総会や臨時株主総会を開き、取締役の選任を議題として決議を取る必要があります。

行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数を必要とする普通決議によって決議される(会社法309条1項)。

会社法でこうあるとおり、普通決議の要件として株主の過半数の決議が必要です。
株主総会とは、いえほぼ家族会議です。多くの場合決議はスムーズに進みます。

決議が取れたら、議事録を作成します。

株主総会議事録
テンプレートをダウンロード

書類②株主リスト

法人登記に持ち分割合が登記されるわけではありませんので、現状の持ち分割合を記載すればかまいません。参考書式は下記に掲載しておきますので、参考につかってください。

株主リスト
テンプレート書式ダウンロード

書類③就任承諾書

こちらは、新しく選任される(就任する)役員のための書類です。

実印を押印する必要がありますのでご用意ください。

もし実印登録をされていない場合は、役所で実印登録をした上で印鑑証明書を発行し準備が必要です。

実印の種類はなんでもいいの?

よく『実印用の印鑑をつくらないといけないの?』と聞かれることがありますが、実印は、どんな印鑑でも登録できます。文字でなくても、百円の三文判でも登録できます。

ただ、いわゆる『痛印』と呼ばれるような、絵入り印鑑は『認印』や『銀行印』としては使えますが、『実印』としての使用はできない自治体が多いです。基本的に実印の印影には姓名以外の文字や絵柄を入れてはいけないという規定があるようですが、自治体によっては絵柄実印が可能な場合があります。一度、自治体に問い合わせてみてもいいかもしれません。

書類④辞任

辞任する役員が記入押印した書類であれば文言等は特に決まりはありません。
押印する印鑑も認印で大丈夫です。

印鑑証明書の取得

選任される(就任する)役員は、就任承諾書に実印を押印する必要がありますので印鑑証明書が必要になります。

辞任する役員については、書類に押印するのは認印になりますので印鑑証明書は必要ありません。

登記事項のオンライン申請

さぁ、いよいよ証明書類が用意できましたら、準備はほぼ完璧です。

あとは申請書を書いて進めるだけですが、自分で書くにはかなり大変な作業です。
そこで、法務局は便利な窓口を用意してくれています。

それが「登記・供託オンライン申請システム」です。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/

登記事項をあらかじめ登記・供託オンライン申請システムで提出することでその作業を短縮できます。

いよいよ申請

法務局へもっていき、必要な金額の収入印紙を貼り付けて提出すれば、登記申請は完了です。

収入印紙は、1回で10000~30000円です。
項目の多さは関係ないので、一度に複数の変更登記をするほうが得ですが変更登記の内容によってかわりますので、事前に確認しましょう。電子マネーでは支払えませんので必ず現金で用意が必要です。

提出後「登記完了予定日のお知らせ」という予定日が書かれた用紙がもらえます。

その日までに何の連絡もなければ、登記完了をまつだけですが不備があれば再度法務局で手続きをし直す必要がでてきます。概ね、この予定日より早く完了することが多いので、電話で確認することも可能です。

今回は、オンライン申請システムを利用した場合、電話をして完了の確認をしなくても、進捗を確認することができます。

実際やってみての感想

結論としては、本当にかんたんにできました。

法務局まで足を運ばなければならないという面倒くささはありますが、書類の用意などは早ければ30分もあればすべて用意ができます。

印鑑証明書の準備は、専門家に依頼しようが自分で取得しなければならず、いずれにしてもデメリットは、「法務局に行く時間ロス」以外に考えられません。